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有川浩さんの小説「阪急電車」の映画化が発表されたのは、偶然にも
阪急電鉄開業百周年にあたる、昨年(2010年)の8月…。
同時に阪急電鉄が撮影に全面協力、阪急阪神東宝グループ約30社が
バックアップする旨が発表された。

配給会社は東宝、製作会社は関西テレビ(他に電通、読売テレビ等)。
監督は関西テレビ製作部の三宅喜重さん…。

言うまでもなく、東宝は小林一三が設立した映画会社であり、未だに創業者の強い経営理念が
根付いている。そして関西テレビはフジテレビのネット局であると共に、阪急阪神ホールディ
ングスの持分法適用会社でもあり、純然たる阪急グループのテレビ局。

まるで図られたような展開だけども、小説「阪急電車」は阪急電鉄に依頼されて書かれた
ものでも何でもなく、原作者の有川浩さんが大学時代に阪急今津線の沿線に住んでいて、
純粋に思い入れの深い路線であったので小説にしたというもの。

そして前回のBlogでも書いたけど、この物語は女性の視点で描かれています。
過去にも阪急沿線を舞台にしたドラマや映画はいくつかあったけど、概ね同じ傾向にあると
共に、阪急沿線は他の沿線には見られない独特な雰囲気を醸してるから、どうしても全国区
で共感を得るのは非常に難しい…。

主演の中谷美紀さんが記者会見で「あずき色の車両が本当に
エレガントで、なんだか懐かしくて、この時代に本当にほっとする
ような車両なんですよね。」と話してたけど、そこには今や阪急の
宿命ともなってしまった「伝統」があり、それらは全て偉大すぎた
創業者、小林一三翁が創造してきた沿線文化の象徴でもあるから
なのですよ。

■第二回:映画 阪急電車 と 小林一三

 開業当初の阪急電鉄(当時の箕面有馬電気軌道)は、全長20キロにも満たないローカル線で、
 ミミズ電車と揶揄されるほど、いつ倒産してもおかしくない、株主からの信用性ゼロの
 遊覧電車にすぎなかった。
 
 「乗る人がいなければ乗る人を作ればいい。」というのが小林一三の発想であり、当時の
 サラリーマンは都心に住むのが常識であった時代に、電車通勤という概念を初めて持ち込んだ。
 
 開業予定の沿線に住宅地を作って販売する、電車が開業すれば当然の事ながら地価は上がる。
 住宅を作る事で電車に乗る人もふえる。
 もし鉄道がダメになったとしても、そういった副業を行う事で株主を安心させる事が出来る。
 更に日本で初めての住宅ローンを取り入れ「借家並みの家賃で家が買える」との触れ込みで
 小林の発案は見事に的中し、今や鉄道経営の常識となってしまった。
 
 しかもただ単に住宅を売るのではなく、いかに快適に生活出来るかを追求し、沿線に娯楽
 施設を設けたり、日本初のターミナルデパートを開店したり、私立高等学校や大学を誘致
 したり…。
 鉄道経営の常識となっているそのほとんどが、小林一三の発想であり、鉄道を軸にして、
 小林一三が理想とした住環境を沿線各地にどんどん投影していく事で、いつの頃からか、
 阪急沿線に住むという事が、一つのステイタスとなっていった。
 それらは全て強いブランド力となり、沿線住民に浸透し、やがて「阪急文化」という言葉が
 生まれる。
 
 そして小林一三は自身が設立した宝塚歌劇に象徴されるように、女性に目を向けた経営者
 であった。
 「大衆消費社会の中心は女性になる」
 阪急百貨店が東の伊勢丹と並んでファッション性に富んだ品揃えとなっているのは、そう
 いった理念からくるものだと…。
 
 それゆえに、阪急沿線の住民は他社では見られない沿線への強い愛着心を持っていて、
 電車の車体色さえ、変える事を許さない。
 
 車両メンテナンスの効率化から、ステンレスの車体で機能重視とした通勤電車が増える中で
 未だに阪急は、退色すると否が応でも目立ってしまう光沢度の高いマルーンの塗装を細やかな
 メンテナンスによって維持し、車内はデコラ地の木目化粧板、座席はオリーブグリーンで
 フランス製のアンゴラ山羊のシートを採用している。
 
 「新車でも経年50年の車両でも大差なく、どの電車も綺麗で落ち着いている」と言われる
 のは、そういった伝統に縛られざるを得ない阪急の宿命であり、全てが創業者、小林一三
 の影響力であるといえる。
 
 阪急沿線の独特の雰囲気は住んだ人でなければ理解し難い文化であり、この沿線を舞台と
 したドラマや映画が全国区で共感を得るのが難しいのはその為だと思う。
 
 ただ、映画「阪急電車」は今までの阪急沿線を舞台とした作品の中では一番、身近に受け
 入れられるようなストーリーであり、かつ沿線の魅力がごく自然に盛り込まれている。
 正直、映画マニアの人達からすれば良い評価は受けにくいと思われるが、それは作品の
 性格上、やむを得ないと思う。
 一企業の社名がタイトルになっている時点で、関連会社がお祭り騒ぎをしてしまうのは
 当然の成り行きで、別にそれが悪いとも思わない。
 
 この作品に期待したいのは、ローカルブームで終わる事無く、全国区で沢山の人に共感を
 得られる事と、何故「阪急電車」でなければ成らなかったのかという必然性を理解して
 もらう事。

 ミーハーですが、色んな意味で公開が待ち遠しいですwww
 
 次回は、阪急沿線を舞台にした過去のドラマや映画作品をテーマに好き勝手語ります。
 

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